北海道の我が家の裏庭は、わりと広い公園に隣接しており様々な動物たちが集まってきます。エゾリス、キタキツネ、ヘビ、テン、ヤマバト、カッコウ、カラス、スズメ、シジュウカラ、あとよく分からない鳥がいろいろ・・・(笑)。
数年前には、住宅街にもかかわらず家から200m先の所でヒグマが出没し、近くの民家の農作物をめっちゃ食い荒らしていきました。エゾシカもちょっと離れた住宅街に現れるほどなので、よほど田舎に住んでいるのかと思われそうだけど、そうじゃないんですよね。一応、大きな街だけど普通に出ちゃいます。
毎日5:30起床の私は、朝起きると真っ先に南側の掃き出し窓のカーテンを開けます。すると、たまに窓の向こう側で弱肉強食の世界、野生の王国の世界が繰り広げられています。出勤前の忙しい時間も忘れて、思わず見入ってしまうこともたびたびあります。
今回は、そんな見入ってしまうような出来事を2つご紹介したいと思います。
スズメ、カラスの餌食になる
朝、窓の外を眺めていると1羽のカラスが庭にやって来た。カラスが来るのはよくあることなので「今日は何しに来たんだ?」と思っていたら、庭で10匹程のスズメがチュンチュンいってる・・・。。庭の虫を食べていたんだろう。
「スズメ達、早く逃げて!」と思ったが、時すでに遅し。逃げ遅れた1羽のスズメを嘴で咥えると、サッとフェンスの向こう側の公園へ飛んで行き、木製ベンチの背もたれの一番上、わずか数センチの幅しかない所に、まだ生きているスズメを足で抑えつけていた。
次の瞬間、嘴でスズメの頭あたりにグサッと、とどめを刺したのを目撃。すぐに羽を嘴で抜いては、右に左に、次から次へと放り投げるんだけど羽なのですぐに落ちないでヒラヒラ、ハラハラと、スローモーションのように朝日を浴びながら落ちてゆく。なぜかスズメの羽が美しく見えてとても印象的だった。
母カラスがベンチで羽をむしっていると、体がひとまわり小さい子カラスがやってきた。母親を見上げてカアカア鳴きながら、羽が舞うベンチの周りを小躍りするようにクルクルと歩き回っている。ウッキウキだ。
子カラス「かあちゃん!すごいね。やったね!」
子カラス「最近、小さな虫(人間界でいうとファストフードか?)しか食べてないからおなかすいてんだよー。」
子カラス「イェーイ!今日はごちそうだ。かあちゃんの手料理だ。うれしいぜー。」
そう言っているように見えた。羽をむしる=手料理だ。
羽をむしり終えると、母カラスは巣がある公園内の柳の木にスズメを咥えて移動。子カラスも母のあとに続いた。たぶん木の上で親子で美味しくいただいているんだろう。
スズメを捕獲してからカラスの巣に持ち帰るまで、わずか5分から10分の出来事だった。苦しみと恐怖と絶望の中でとどめを刺されたスズメ。その傍らで小躍りして喜ぶ子カラス。
古館伊知郎のプロレス中継なら、「阿鼻叫喚のぉっ!地獄絵図がぁぁぁ、今、まさに繰り広げられていますっっっ!」っていいそうだなーと思いながら見ていた。
カラスって賢いから、難を逃れたスズメたちが見守る中で、しかも公園のベンチで目立つように公開処刑をするなんていうのは、わざとかもしれないね。見せつけてるのかな。縄張りを他のカラスに主張するとか、いろいろカラス的にも事情があるのだろうか…。そして、仲間を失ったスズメたちは木の枝葉の陰からガタプル震えて状況を見守っているに違いない。
いやぁー、弱肉強食って凄いなぁー。スズメでなくてよかったわー。
スズメ、ヘビの餌食になる
6月のある昼下がり、昼食をとった後ソファーでくつろいでいたら、スズメがチュンチュン、チュンチュン30分以上鳴き続けていつになくうるさかった。
「どうした!スズメたち。何かあったのか?」そう思い、窓からスズメの鳴き声のする方を見ると、庭の隅でこれまた10匹ほどのスズメたちが、30㎝くらいに育ってしまったイタドリの葉っぱのあたりを目がけて、チュンチュンいいながら激しく乱れ飛んでいるではないか。
「もしかして、傷ついたスズメがイタドリの下にいるのか?仲間が心配しているじゃないの。かわいそうに、助けてあげなければ・・・。」
私は、玄関を出て裏庭に入った。まだチュンチュン騒いでいる。こんなに騒いでいるならまだ生きているような気がする。
スズメ達を驚かせないよう静かに近づき、ゆっくりとイタドリの葉っぱを手でかき分けた。
「ゲッ!」
思わず、後ろへ1mほど飛び退いた。
「ギャー。やめてー。」
な、なんと、
ヘビがとぐろを巻いてスズメを呑み込んでるぅー!
私の手から30㎝下のところで、顎を外して呑んでる~。口が引きちぎれそうなほど開いてるし、しかもスズメの体の半分がまだ口から出てる。そのお口じゃスズメは大きすぎるんじゃないの?と思うほど飲み込むことに難儀してるじゃないの。ヘビの体長はとぐろを巻いてたのでよくわからないが70㎝~100㎝くらいだろうか。太さは、水道に取り付けるホースくらい。
気持ち悪いのと、恐ろしさでビビりまくった私は、そそくさと自宅に退却したのであった。
30分間ガタプルと震えながら自宅で様子をうかがい、スズメのお仲間の鳴き声が止んだのを見計らって、再びイタドリの葉っぱのところへ行った。160cmくらいあるインゲン豆の支柱を手に持ち、離れたところから、そっと葉を支柱でめくってみた。
既に、ヘビはどこかに消えていて、我が家の庭に平和が戻ったようだ。
鳥の中では弱肉強食の底辺であろうスズメさん、ほんとにお気の毒である。
ああ、私、スズメじゃなくて、ホントに良かった!
心からそう思った一日だった。
以上ウサピリカでした。