先日、「山怪」のレビューを書いていたところ、自分の父が山奥に住んでいたことを思い出しました。そして、父も山で何度か不思議な体験をしているんです。
隣のお宅が山を2つ越えた先にあるほどの山奥に住んでいて、車もまだそんなに普及していない時代の話です。
当時の父は、まだ5歳前後でした。
父の父(私の祖父)は、山奥を農地に変えるため開墾に力を入れていた時期でした。朝から夕方まで毎日、木を切り倒す作業をしていたそうです。その祖父の仕事のために一家で山奥に住むことに決めたと聞いてます。
そのような時代に父が山で経験した不思議な出来事は、一家だんらんの場で時々、語られることがありました。「あれは、いったい何だったんだろうかなー。」と、当時を振り返り、口癖のように言っていたのを覚えています。
今回は、そんな父から聞いた話をご紹介したいと思います。
山の中に住んでいると一日中暇なので、父はよく祖父の仕事場について行き、木を切り倒す様子を近くの小高い山の上から眺めていたいたそうです。これはその時の話です。
祖父は父から10mほど離れた斜面の木を伐採中でした。父が高い位置から木の切り株に座ってその様子を眺めていたところ、いきなり「おーい!」と叫ぶ声が聞こえてびっくりしました。祖父の声ではありません。子供の声です。
声の方を見ると、自分の右側、3mくらい離れた木の切り株の上に着物を着た女の子が立っているではありませんか。年の頃は、自分と同じ5歳くらいに見えたそうです。
こんな山奥に人なんかいるはずもないのに、この人どこから来たんだろうか…。獣道しかないようなこの山に裸足で来るなんて信じられない。そんなふうに思ったそうです。
今まで過去に何度か、姿は見えないけど近くの山から「おーい! おーい!」と叫んでいる声を耳にしたことがあったので、この人が声の主だったのかと思い、声を掛けたそうです。
父「この前も別の山で、『おーい』って言ってた?」
しかし、女の子は向かい側の山を見ているだけで返事もしなければ、こちらを見ることもしません。そして「おーい! おーい!」と向かいの山に向かってひたすら叫んでいるだけです。
気味が悪くなるくらい機械的に叫んでいたので、この人、普通じゃないなと思ったそうです。きっと向こうの山に父親がいるのかな。そっとしておこうと思って視線を自分の足元に戻して、またすぐに女の子の方へ視線をやると消えていなくなっていたそうです。わずか1~2秒のことでした。
なんかおかしいと思った瞬間、背中に悪寒が走ってイヤな予感がしたので、振り返るとさっきの女の子がいつ移動したのか、自分のすぐ背後に立っていて無表情でこちらを見ていたそうです。歩いて移動したのなら、草の踏みしめる音がして気配があるはずですが、まったく物音がしなかったとのことです。
「怖い!」と思って目をつぶってしまいましたが、勇気を出してすぐに目を開けると、もう消えていなくなっていたそうです。それと同時に背中の悪寒も不思議となくなったそうです。
「山怪」同様、話に落ちも何もありません。この話は、父がおじいちゃんになってもよく私に語っていた話で、記事を書きながら亡くなった父のことを思い出してしまいました。
このような、山での不思議な体験が数多く綴られている「山怪」。
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