皆さん、こんにちは、ウサピリカです。
今回の不思議な話は、私が20代後半の頃に体験したお話をしたいと思います。まだ独身で親と一緒に住んでいた頃です。
時期は、ちょうどお盆の頃でした。両親と兄弟姉妹が遠く離れた町に、一泊二日の予定でお墓参りに行くということになり、仕事のある私は留守番をすることになりました。
突風と動く七福神
お墓参り出発の当日の朝、みんな忙しそうにしているので「代わりに掃除機かけとくねー。」と言いながら、居間の隣で掃除機が置かれている部屋の引き戸を開けました。
その時です。閉まっているはずの窓から、いきなり突風が吹きてきました。私が立っている部屋の入り口から見て左側の窓です。どう見ても窓は閉まったままです。先にこの部屋に入って窓を開けていた人などいません。この日初めてこの部屋に入ったのが私なのです。だから、誰も窓なんか開いていないのです。
なのに風が吹いている…。カーテンは揺れるし、神社からいただいたA4サイズのお札が1個の画鋲で壁に貼られているのですが、風で激しくなびいています。
おまけに、長さ30㎝くらいの板に、7体が一列になってガッチリ固定されている茶色い素焼きの七福神たちが、カチャカチャと音を立てながら板から離れて小刻みに振動して動き始めました。宙に浮いちゃってます。
普段、素焼きの七福神たちは、一体一体が手のひらサイズで瞬間接着剤か何かで頑丈に底の部分が固定されているため、例えば一体だけの頭を握って、片手でぶんぶん振り回してもピクリとも動かないんですが、動いています。
帰ってきたご先祖様
自分が見ている光景がどういうことなのか理解が出来なくて、暫く固まったまま立ち尽くしていましたが、これは普通じゃないなと思った瞬間、急に怖くなり戸をあらん限りの力で閉め「ギャァ~!」と叫びながら居間にいる母親の元に走りました。
私「か、かぜ、風が吹いてる!窓閉まっているのに…。隣の部屋…!」
もう涙目になっていました。『インディアン、ウソ、つかない。』みたいな話し方しかできませんでした。
母「なに騒いでいるのW」
母は、そう言いながら私が指さした部屋の戸を開けました、もう風は吹いてはいませんでしたが、壁に貼られたお札が、さっきの余韻でしょうか、まだ右に左に振り子のように揺れていました。 七福神は何事もなかったように板に張り付いたままです。さっきの宙に浮いていたのが嘘のようです。
「ねっ? ほんとに揺れてるでしょ? 風吹いていたんだよ!」
母は、「お盆だからご先祖様が帰って来たんだわW 怖くない!怖くない!」と笑いながら答えました。「七福神も動いてたんだけど‥‥。」と不安げに言うと、「お盆にご先祖様が帰ってきて、七福神も喜んでいるんだわ!」と適当なことを言い残してさっさと、お墓参りに行ってしまいました。
一人取り残される私
さて、一人取り残された私は、皆が帰ってくるまで何とかして恐怖を乗り越え、過ごさねばなりません。
幸い日中は仕事なので家で過ごさなくても良いのですが、夜家に帰って来てからが怖くて仕方がありませんでした。夜中にトイレに行くときは、突風が吹いた七福神のある部屋の横を通らないといけません。
なるべく水分をとらないようにして、トイレに行く回数を減らそうと頑張ったのですが、夜中の2時頃に目が覚めて、どうしてもトイレに行かなければならない状況になりました。
意を決して、トイレに向かい部屋の横を通りました。
ビビり屋なので、ちょっとした音にも過剰反応してしまいます。
結局この時は、何も起こらなかったのですが、部屋に戻ってきたころにはどっと疲れてしまいました。翌日の朝になって、やっとホッとした気持ちになったことを覚えています。
七福神が動いたのはどうして?
理由はわかりませんが、この出来事を数年前にある人に話したところ、七福神が動くのは、良いことが起こる前兆だったのでは? と言われました。
よくよく考えると私の結婚が決まったのがその3か月後で、その6か月後に妹の結婚が決まっているのです。
悪いことは、なにひとつ起こらなかったので、そんなに怖がることではなかったのかなと後になって思いました。
結婚後も実家に帰省したときには、必ず目にするこの七福神ですが、動いたのは後にも先にもこの時だけでした。
きっと、縁起の良い七福神の置物をガタガタ揺らすことによって、お盆に帰ってきたご先祖様が『近いうちに良いことがあるよー。』と私に知らせてくれたんだと思うようにしています。