私の父が子供の頃に山で体験した不思議な出来事。
第二弾です。
山を二つ越えなければ、お隣の家にたどり着けないというほどの山奥に住んでいた子供の頃の父。父親(私の祖父)の仕事の都合で一家で山奥に住むことになり、そこで不思議な体験を何度かしました。
前回は、誰もいないはずの山で着物姿の女の子に遭遇した話を紹介しました。
詳しくは、こちらです。↓
今回は、父の父親(私の祖父)が亡くなる直前の話と、その後、里に下りて生活を始めた頃の話を紹介したいと思います。
人の形をした黒い霧
開墾をするために毎日、木の伐採に精を出す祖父は、まだ明るい夕方のうちに仕事を切り上げて帰ってきます。日が暮れてしまうと、山一帯が真っ暗で家に帰ってくることが出来なくなるためです。
その日、父は家で過ごしておりました。夕方になって家に帰ってきた祖父に「お帰りなさい。」と言いながら、玄関へ出迎えに行った時です。
玄関に入ろうとする祖父の背後に、黒い霧のような人の形をしたものが3体うごめいているのを目にしたそうです。仕事場からなのか、帰ってくる途中からなのかは分かりませんが、祖父の後をずっと追ってきたように思ったそうです。
父はその時、怖ろしさで絶句したそうですが、祖父はまったく気付いていない様子だったそうです。黒い霧は家には入ってくる様子はなかったので、とりあえずは大丈夫だと思っていたようです。(当時、幼かったので何もできなかったとのこと。)
ただ、この黒い霧はその後、家の周りでずっとうごめいて家の中の様子を伺っていたのです。とても不気味に感じたそうです。そんな状態が一晩続き、気が付いた時にはいなくなっていました。
それから間もなくして、祖父が亡くなってしまいました。
亡くなった時の様子は、当時、子供だったので詳しくは知らないそうですが、どうやら病気だったようです。
黒い霧のようなものが、祖父の後をついてきたのは、死期が近づいていたからなのか。
いわゆる「〇神」というものかもしれません。(ストレートに書きたくないです…。)ただ、複数の〇神が出てくるケースってあまり聞いたことがないので、生霊なのか、開墾を望まない山の神様の使者がやってきたのかもしれません。
父は、あれが何だったかは分からないが、とても不気味で怖かったと後に回想しておりました。
火の玉を捕まえる
祖父の死後、家族は里に下りて生活するようになりました。
小学生になった父は、近所の友達と悪乗りして火の玉を捕まえようという話になったそうです。
ある日の夕方、友達と虫取り網を持って火の玉が出そうな場所へ向かいました。山の近くなのか、お墓の近くなのかは忘れてしまいましたけど、ちょっと寂しい場所だったようです。この場所で何度か目撃したことがあるのでこの場所で待つことになりました。
薄暗くなった頃、遠くの方から火の玉が自分たちの方へ、ゆらゆらとやって来ました。
友達と待ち構えて、「さあ捕まえよう。」と思った瞬間、するりと巧みにかわされて逃げられてしまったそうです。
追いついては逃げられる。そんなことを5分ほど続けて、とうとう父が捕まえることに成功しました。
しかも、素手で捕まえました。
何度もするりと逃げるので、手にしている虫取り網を放り投げて両手で思わず捕まえてしまったそうです。
捕まえた瞬間、火の玉はとても冷たかったそうです。冷たくて背中がゾクッとしたかと思うと、すぐに火の玉が手の中で消えてしまったそうです。
父が見たものは、狐火か鬼火か人魂か分かりませんが、冷たかったことが意外でした。火というくらいなので当然、熱いと思っていましたから。
それにしても火の玉を捕まえるだなんて、そんな気味の悪いことよく思いついたものだなと思いました。なぜ捕まえようと思ったのか私が尋ねると、「その日は、なぜか捕まえられると思ったから。あと暇だったからかな。」とのことでした。
まあ、悪ガキの小学生だったと本人も言ってましたので、趣味の悪い遊びの一つだったのでしょう。
その後、祟りなど何もなかったようなのでほっとしてます。